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My Bright Night

僕は「ボサノヴァ演奏家」である。というか、「音楽家と言っても、あなたの専門は何ですか?」と問われれば「ボサノヴァです」という習わしである。なのに、である。この新譜の全13曲のうちボサノヴァと呼べそうなものは、この6曲めの"My Bright Night"一曲である。あと「ルドンの蝶」に部分的にボサノヴァのリズムが使われているのみ。ボサノヴァ演奏家の看板返上かと疑われても仕方がない。しかも、その唯一のボサノヴァ曲が、真正ボサノヴァではない。パーカッションで参加してくれた石川君曰く、「ハワイアン・ボッサですね!」と明るく理解してくれた(笑)。ハワイアン・ボッサなるものが存在するのかどうか知らないが、その通りである。第一、ウクレレが使われている。カヴァキーニョですらない。しかも歌は抑揚たっぷり、いわば「ボサノヴァ歌謡」。が、それゆえ今回のアルバムに入れたとも言える。他の情緒たっぷりの歌謡たちと同居できたのだ。
それともう一つ、この曲に関して作者である私自身がはっきり言えること、そして他人には言わせたくないことは、楽曲そのものとしては決してクオリティの高いものではないということ。すでにご紹介した「波と二人の唄」「メロスの夢」にしろ、これからご紹介する予定の「いつもの土曜日」「恋は捨て身」にしても、同様に曲のクオリティはさほど高くない。思い出してみれば、だからこそ、それらの曲たちは、旧作アルバム「風」(95年発表)のための選曲に「落選」したのであった。そう、今回のアルバムにこれらの曲が入るならば、「アルバムタイトルは『落穂拾いだ!』」と冗談半分に言っていたくらい、ボツ作品の集まりなのである。しかしながら、今の臼田道成が、この声で、この表現力で歌うと、楽曲そのもののクオリティを超えることができることも、わかったのであった。
良き作品、というか、良き「原作」には、それ自体で美しい完成品として成立してしまうものと、それ自体としては未完成で、演者の協力を得て初めて完成するものとの二種類があると思う。思うに、これら「落穂拾い」組は後者に属するのだろうな。
作曲作詞した27歳の臼田道成は、52歳の演者臼田道成の到来を待っていたのかも、しれない。いやはや、気の長い話だ。今の僕に77歳の演者臼田道成を待つことができるか...? 無理だろうね(笑)。

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臼田道成 guitar
松尾和博  ukulele
池田雅明  piano,keyboards
小島のり子 flute
石川智 percussion

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