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保谷

本日は、アルバム「世界中を青い空が」から7曲めの「保谷」をご紹介。全13曲なので、これがアルバムのど真ん中。この曲は、あまりに異色なので、ボーナストラックにするか、などと考えていたものだ。しかし、アルバムはきっちり「世界中を青い空が」で終わらせたい。さて・・と思ったが、ど真ん中は、結構良いポジションだったと思う。
「異色」と書いた。何が異色であるか。まず、今回のアルバムでこの曲だけが共作であること。いや、共作、などと、畏れ多い。「戦後最大の詩人」と言われる田村隆一氏の詩に、勝手にこの僕が曲を付しただけのことだ。あれは1998年8月の末。作曲に行き詰っていた臼田は、たまたまピアノの上に置いていた田村隆一詩集をパラパラとめくり、たまたま目に留まった「保谷」という詩を眺めるうち、あっという間に曲が付いてしまったのだ。意図した出来事ではない。つまり「事件」だ。そして、翌日の夜、医学部時代の先輩から電話があり、「臼田、田村隆一が亡くなったぞ!」との訃報を受けた。しばし呆然とする。昨日、大詩人の小さな詩に曲を付したばかりなのに・・。田村隆一氏、1998年8月26日逝去、とある。ならば、曲が生まれたのは、8月25日であったのか、または26日、亡くなった当日であったのか、もはや記憶は定かではない。
この夏、8月26日に川口のリリア音楽ホールで行われた僕のコンサート、「イパネマの娘」というタイトルのボサノヴァ・コンサートではあったが、アンコールで、この「保谷」を歌わせていただいた。ボサノヴァではない、が、誰がなんと言おうと、歌うつもりでいた。ちょうど19年前のこの日に亡くなられた、「保谷」の詩人に敬意を表さねばならないと思った。
今回、このアルバムに収めるにあたり、著作権者様、つまりご遺族から許可をいただくことができた。なんとありがたいことであろう。詩と酒を心から愛し、そして詩と酒の神からも愛された我がアイドルであり、大詩人である田村隆一の言葉を、僕の声で皆さんに伝えることができるなんて。そして、この詩の最後にある、決意の数行は、田村さんの決意であったと同時に、我々、創造を仕事とする者たちへの、田村さんの激励であり、我々が旨とすべき指針であるはずだ。「保谷」は僕の座右の歌であり続けるだろう。誰がなんと言おうと。

 ぼくは悲惨をめざして労働するのだ
 根深い心の悲惨が大地に根をおろし
 淋しい裏庭の
 あのケヤキの巨木に育つまで

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歌とピアノ:臼田道成

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