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二つの電話

なぜか、今回4月からの滞日中は、ブラジルの友人への近況報告が遅れがちになっていた。
いずれ戻ることがわかっているからなのか。わからない。
しかし、今夜は酩酊船長臼田、尊敬すべき大歌手である我が友人Tito Madiの未発表録音を聴いているうちに、急に彼と話したくなり、リオへ国際電話。
お手伝いさんが出たので「こちら日本から、歌手のミチナーリ!Titoと話したい」。
こちらは夜中でも、向こうは昼下がり。「おお、ミチナーリ!、おまえを懐かしがってた(sentia sua falta!)ところだよ」と。
「あなたの未発表録音を聴いていたら、去年よりさらに感動したのです。あなたのCDが発表されるべき時代が来ていますよ!」というと、「プロデュースのGilson (Peranzzetta) がまだ何も言ってこないのでね」というから、ええい、まだかと思い、「いや、僕らも手伝いますよ!」と励ます。「まだ歩けないんだよ(数年前彼は脳溢血を患ってから歩行ができない)」とは言っていたが、80歳を越えた彼の声は、僕の耳に半年前よりいくらか力強く響いた。大丈夫、まだ歌える。
嬉しくなって、酩酊船長は続けてサンパウロのWanderley(僕のCDでピアノを弾いてくれた、偉大なピアニスト)に電話。「やあ、ヴァンデルレイ!日本からだよ、ミチナーリだ!覚えてるよね?」とふざけて言うと、「おお、忘れようかと思ってたところだ」と相変わらず冗談を飛ばしながら喜んで迎えてくれた。「おれたちの日本公演はいつだ?」というから、半ば冗談、半ば本気で「来年だよ、今年は難しい年だった」と答える。奥方Angelaが代わって、「あなたを待っているわよ。しかし、待っているのは私たちだけではない。世界があなたを待っているのよ。そしてアーチストであるあなたは、自分を大切にすること」といつものようなメッセージ。嬉しい。ブラジルは待ってくれている。
調子に乗って、ジョアンの50年に渡るマネージャー、Otavio氏にも電話。でも、これは応答無し。いや、こうでなきゃいけない。
Otavioは過去においてTitoのマネージャーでもあり、僕にWanderleyを紹介してくれたのも、このOtavio。ならば話したくなるのは自然だが、「ツー、ツー」とだけ鳴っているからこそ、僕はブラジルに呼ばれていると思うのだ。
「電話でなく、おまえ自身が来いよ」と。
行くのはもう決まっているのだ。ちょっと待っててくれ。

「いいか、ミチナーリ。おれはお前を支えるからな(Vou te apoiar)! わかったな?」
という、あたたかなTito翁の言葉がこの耳に残る今宵だ。

では、もう一杯だけ。
Tito翁の未発表アルバム"Quero te dizer que eu amo"(お前に愛していると言いたい)の美声を聴きつつ。
あと2ヶ月とちょっとだ、ブラジル。


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