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「トロバドール」完成間近!

SESC Tijuca

実に3ヶ月ぶりの日誌。「月誌」どころか「季誌」だな、もう。もっと気楽にささっと書けばいいのだろうけど、そういうことができない質(たち)なのでしかたがない。
先週金曜に、リオ市内TijucaチジュッカのSESC(セスキと読む。公共の厚生文化施設)において、約一年ぶりとなるライブをまず成功のうちに終わらせてほっとしているところ。レパートリーは新CDとほぼ重なるが、日系移民百周年記念イベントの一部なので、「椰子の実」の他、私の日本語ボサノヴァ「Song for Lila」もきちんとポルトガル語訳を朗読の後演奏した。ちゃんとした舞台で演奏するのが久々だったせいもあるが、さすがに緊張した。おまけに、今回は思い切って、譜面台(歌詞用)を置かずにやったので、歌詞ど忘れの恐怖とも戦いながら、なかなかハードな一時間だった。しかし、なにせ2年間近く、同じCDレパートリーだけ特訓していたのだから、忘れるのはかなり困難だ。「あ、次の歌詞、なんだっけ」と慌てても、勝手に口から歌が流れている。ギターも然り。何も考えずとも指が勝手に動いてくれる。余計なことは何も考えず、歌の風景に住んで歌えば、間違いはないのだと悟った。サポートメンバーのフルーティストCarolカロウと打楽器奏者Berbelベルベルもよくやってくれた。このトリオで9月、サンパウロでのCD発表ライブを行ういい準備にもなった。

CDといえば、前回日誌ではちょうどサンパウロのスタジオでミキシング真っ最中のシーンだったが、あのミキシングは結局まる1ヶ月かけて終わり、その後、音源は東京渋谷へ、13年前の初アルバム「風」でも作業していただいた、名マスタリング・エンジニア、滝瀬さんのもとに送られ、ようやく6月前半に音が完成したのであった。素晴らしい音になったと思う。しかし、音だけでは製品にならないのであって、CDジャケットのデザイン作成や、印刷校正での色の変更など、日本のCD製作会社との間で面倒な作業がいっぱいあったため、実はまだ最終的な印刷、プレス作業には入っていない有り様。今週末に日本から届くジャケット校正見本で僕がOKを出したら即、生産開始である。いや、OKを出さないといけない状況ではある。なにせ、来月11日にリオのレブロン(イパネマのお隣)でCDの出演者を招いての発表ライブが、すでに予約されているのだ。もう再校正の時間はない。ああ、たのむぜ、印刷屋さん、て感じだ。見本はどのあたりだろう。空の上か。待つしかない。

Otavi texto3


レブロンでの発表ライブには、サンパウロ在住のピアニストWanderleyヴァンデルレイは出演できないなあ、と残念に思っていたのだが、先ほど彼に電話したら、なんと8月前半はRoberto Carlosロベルト・カルロスとCaetanoカエターノのボサノヴァ50周年記念ジョイントライブのリハーサルでリオに滞在するから、僕の発表ライブに出られそうとのことだった。素晴らしい。出演者全員参加だ。
ヴァンデルレイを僕に紹介してくれたOtavioオターヴィオ(ジョアン・ジルベルトの47年に渡るマネージャー)も招待しよう。オターヴィオは、僕のCDのブックレットに推薦文を寄せてくれたのだが、その際、驚くべきことに「ジョアンのうちで、君のCDを彼と一緒に、二回まるまる聴いたよ。ジョアンが君に『おめでとう』を送ったよ。彼は気に入ってたよ」と言ったのだ。嬉しくてほとんど泣いた。僕は「(嬉しくて)死んじゃうよ。もうCDを発表する必要はなくなったよ」と冗談のつもりで言ったのだが、なかばは冗談でなかった気がする。僕はこの23年、彼の芸術を常に遠く輝く星として尊敬しながら歩いてきたのだから。その本人が僕の仕事を聴いてくれた。気に入ってくれなくてもいいのだ。聴いてくれたということだけで、もういい。
また、このブックレットには、Bip-Bipの店長Alfredoアルフレードも心のこもった素晴らしい文章を寄せてくれた。ありがたいことだ。ぜひとも、このCDは成功させなければいけないな。ブラジルでも、そして日本でも。

Alfredinho texto


帰国まであと数ヶ月。あんなに懐かしかった日本だが、今懐かしいのはむしろブラジルだ。この切ない懐かしさこそ、“saudade”サウダージという感覚。ブラジルにいながらにして、すでにブラジルにそれを感じている。5年近く住めば、あと数ヶ月後に迫った帰国は、もうすぐそこにある未来である。帰国前、そして帰国後、いったい僕は、どういうふうにこのsaudadeに対処するのだろうか。しかし来月11日のCD発表から帰国までの間には、帰国後の僕と、ブラジルとの関係を左右するような、かなり密度の濃い動きが自分の内外に起こると予想される。
とにかく、今肝腎なのはアルバム「TROVADORトロバドール」を美しく完成させることだ。
「印刷屋さん、CDプレス屋さん、頼みますよ!!」
こう祈るしかないな。


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